映像/葉leaf
雑踏の中に屹立する鋼のルサンチマン
辺り一面に広がる「私」の倉庫
風が一度たりとも触れることのなかった都市の特異点で
「あなた」の残響が整備された街路樹を埋めている
角度は徐々に水になり速度は速やかに炎になり
燃えている川の岸で北極が宇宙を相続している
過ぎ去っていく木立から統一が抜け落ちていき
「彼」の上昇する痛みは書き言葉として散っていく
判別できないものが窓の始まりで
頬を打ってくるものが部屋の終わりである
花と花が重なって種となるときに
大地はすべての歌を封じ込めた
「私」が失くしたものはこんなにもくっきりと
目に映っているのに自明すぎて取り戻せない
「あなた」が与えてくれたものはこんなにも鮮やかに
脳を痺れさせるのに必然すぎて手が届かない
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