「ともになる」/玉兎
 

なにもない、と
なにももっていないと、
ぬれたよる
それも
いつかこえて
おとなになった

なにかをにぎりしめていると
おもっていた
てのなかに
ただくらやみばかり
あつめて

たくさんの
こころが
ゆきかう
このまち

ぼくは、
ぽつん、と
とおくはなれたせなかに
しずかに、
きょうめいする

みずから
ひらくことを
おそれていた
くらやみが
はじめて
ひかりをはなつ


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