猛獣使いにさよならを/ゆったいり
 

かなしみとは獣のようなものだ

この涙はどこからくるのだ
あのおおきな海原からか
ぼくの中に海があるのか
ああ
どうりで
母の腕へと温かい

ぼくに流れる潮がかなしみだと知った

そんなんじゃないんだ
ぼくはぼくに暴れる獣に
僕の大いなかなしみに
理性のムチを打ちたくなかった
友達になりたかった
なりたかった
それだけで
ただ、それだけなんだ

僕も虎になるのだろうか

詩人はこころに
どうしようもないものを住まわせている
それは幸せで苦しみで詩そのものだ

猛獣使いにさよならを

心に獣が暴れる時
ゆめをみる
ぼくのけものの背にのって
あの海をとび越すんだ
それから青空で煮込んだ星屑のスープを飲もう
かなしみといっしょに飲むんだ
ちょっとやんちゃな僕のともだちと
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