透明流星群/有無谷六次元
 
「夜の色は、黒じゃない。
限りなく、深い、青だ。」
かつて私にそう言った彼は、
今、病院の、鉄格子のついた窓の向こうにいる


誰かに許しを請うために、痛めつけた己
ただまぶしいばかりの地下室の明かり
私は軽く閉じたまぶた越しに
それを受け止めるしかなかった
照れ隠しすらできず、うずくまる事もできない
とうめいのながれぼし


いつものところでレコードの針が飛ぶ
あの丘へ、の丘へ、の丘へ、の丘へ、の丘へ……
「あの最後は、俺だけのものにしたい。」
殉職した刑事の真似で、ぎこちなくごまかす
へたくそなうたをうたう


歩く秒針
に、あわせて
深くなる私の青
何をしても生きられない
私達
焼け爛れてしまう
焦げ付くたんぱく質の臭い
それでも、私は笑い転げるのだ
風に煽られてさらにけたたましく
燃える燃える燃える燃える燃える……
の丘へ、の丘へ、の丘へ、の丘へ、の丘へ………


「情緒だけで吸ってる」そのたばこが
フィルターだけになったら
また、あの場所で会おう
とうめいのながれぼし
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