人船/朧月
 
ひとは
自分では
はじめることも
おわることもできない

できることは
ただすすむだけ

うろうろと
ふらふらと
すすむだけ のろのろと

それをみただれかが
指をさしてわらう
そのゆびがさすさきに
いる自分をみてわらう

空はあかるく
すすむさきはいつもみえない

うろうろと
ふらふらと
すすむ私の心は のろのろと
たくさんの疑問符を浮かべながらも
少し安堵している

まわりには
おなじような船が
おなじように漂っていた
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