恋人は去りました/
マツオカシロウ
トーストに塗りたくる
ジャムのように
優しさを押しつけて
おいしいとほおばる君を
隣で見ていたかった
だけど君は満腹
恋人は去りました
恋という行為に
実は行為そのものに
恋をしてたけれど
これはこれで
恋だったのかな
つまり僕は身勝手
恋人は去りました
いつか新しいトーストを
新しいトースターで
焼くのでしょう
今度はジャムを塗る前に
好みを聞かなきゃ
そんな僕の自惚れ
恋人は去りました
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