手紙/笠原 秋人
 
くれたら、いつまでも、俺は、お前が好きやった強い俺でおれたんや、俺かてライオンやないんやから
せやけど、まちごうてたんやなぁ
強いままでおったら、二人はずっと一緒におれたんかなぁ
例えば、足らんもんを補い合って、言いたい事言い合って、喧嘩して、セックスして、仲直りして、そうやって一つになって生きていく、そう思てたけど、ちゃうかってんなぁ

お前が残していったもん
整理しながら、お前の事、思い出してる
この部屋そのものがお前みたいなもんやから、なんぼ整理しても、なんや心臓のもっと奥らへんか、どっかわからんけど、その辺からグゥっと込みあげてきて、喉がめっちゃ乾いたりして、怒りや憎しみや悲しみや虚しさか
もう、なんやわからん感情が一緒くたなって、グチャグチャなって
あほみたいなって
でもな、お前には多分、この先
会うことないやろし、あれやけど
全部片付く頃、ゆうか、一つ一つ片付けるたびに
お前に言えんかった、ありがとうを、せめて言いながら片付けようおもてんねん

よう考えたら、ほんま、めっちゃ幸せやったなぁ








戻る   Point(4)