血縁/葉leaf
使い古されたこたつテーブルにCDや本を平積みにして、それらのもたらす光彩に自然な無関心で向き合い、もはや暑苦しいだけで役目を終えたこたつ布団のひそかな熱に足を包んで、私はいつもの部屋にいつもの姿で座っていた。だがそのようないかにもありふれていて湯水のように使われそうな情景のただ中にありながら、そんな情景にひびが入って何か新しい世の中でも生まれそうな気配が漂うときがある。もちろん部屋の情景は何一つ変わらない。だが、部屋が家の構造の中に位置づけられ、家の歴史の中に位置づけられるとき、それはもはやただの部屋ではなくなってくる。部屋が一つの細胞のように、機能し、変化することに気付いたとき、その細胞の中の一
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