燃えないゴミの日/オノ
そもそも釣り合った対等なカップルではなかった。
つけ込んだと言えば聞こえは悪いが、一時の気の迷いに乗じて
ドサクサに紛れて交際関係を勝ち取ったようなものであったので、
私の側にはいつ振られるか分からないという危機感があった。
なので、私は一種のしたたかさを持って彼女と接するようにしていた。
彼女は私が形に残るものをくれないことに時々不満を漏らした。
彼女が私に送るのはキーホルダーや財布や時計や、形に残るもの
ばかりだったが、私は食べ物やイベントや、血肉になるか記憶に
残るだけで、目に見える形を残さないものばかりを贈った。
デートで奢るのは食べられるものだけで、行く先々の記念品
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