朝の目覚め /
服部 剛
心象の野原に並ぶ
秋桜の群のひとりは
しきりに、揺れて
無音の声で僕をみつめ、囁いている
花弁の淡い唇をみつめるほどに
野原は時のない国になり――
若き日の父母の間に
手をつなぐ
無邪気な僕の笑い声が
はっきり響く、夢の青空
*
目が、覚める。
暗がりの、朝。
雨戸の細いすき間から
一条の日がこちら側に射している
そういえば――
風邪をひいた妻と子は下の階だと、思い出し
のびをする
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