擬音のごとく/atsuchan69
多孔質の美しさが祇園精舎の鐘の声とともにさも永久不変なものと対峙するように
赤い舌を震わせ懸命に【au】の発音を試みては痛々しい失敗を繰り返した
だがそれは抗不安薬による副作用に違いなかった
しんでしまえ
そして楽になればよい
理不尽で
失望に満ちた
おまえの一生が報われぬまま
おまえ自身が殺した幼気なことばたちの呪いによって
ありのままの円唇後舌半広母音によってはやく楽になればよい
かたちなきせかいに
いのちの炎はもえひろがり
それは儚くつたないことばたちによって伝達され
やがてこの世界を灰になるまで焼き焦がすと
熱く永劫に消えることのない
悦びの火炎が天にまで届く
託宣。
野も山も
よこしまなことばでみちあふれた
貧しい詩人たちは荒布を着て、
Re:擬音のごとく
或いは、
悪魔に憑りつかれた豚のように
曠野をゆきかい、
やがて崖から身を投げて落ちてゆく
あうっ、ぐゃあああおう
ぎゃ、【au】。
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