猫を拾う/伊織
職場をいちばん最後に出て
終電間際の電車を降りて
昨日と明日のあわいを歩いていた
街道沿い
歩道の隅
長い手足をきゅっと折り畳んで
体育座りでそこに居たんだ
白いパーカーは思いの外薄く
差し出したホットココアにもまだ警戒を緩めない
ふわりと一枚
フード付きのタオルを被せて
ようやくマグカップを握った指は
陶磁器のそれだった
セミダブルを明け渡し
フローリングから見上げると
羽毛布団をぐるぐる巻きにして
壁に身体を押し付けた
丸い背中
トーストの匂いで目が覚めた
テーブルに並ぶミルクと目玉焼き
「自分のことは、自
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