12月31日 雪の降った冬に/蒼木りん
すっかりとんでしまった
そう
そうだ
ぼたん雪を見ている話を書き出そうとしていたん
だった
あなたの書いた詩を読んでいたら
ほんの数秒前に浮かんだ一行が
白の上で消えた
すっかりとんでしまった
とっても惜しい気がするけれど
どうでもいい気にもなる
あなたの詩の世界に引っぱられてしまって
それについて考えるほうに気をとられてしまって
私の世界はいま
私が留守がちだから
がらんとしていて埃が舞っている
今では誰も訪れてはくれないよ
あなたの世界を読んで
あなたになって
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