それぞれの空/黒ヱ
先で互いを見つめ合う
その間を 柔らかな風が流れて行く
「ほら 音も立てずに鳴るんだ」
空に溶けて 混ざっていく
音もなく 色もなくなる
時に薄れ 忘れ去られていく
夜天を溶かしたのは
空から幹を見抜いた とてもありふれていたもの
萎れる心を潤してくれる
それでも 寂しげに
このまま 隣をねだり 繋ぎ合う
通った道の色 想い出し もたれ掛り
独りに疲れ
無い物を在るように 声を上げて鳴いている
遠くあがる 狼煙
蛹の背のひびを押し退ける
今が飛翔の時だと
色鮮やかに番いの翅の描いた
流す温かな風は 願い また連れてくる
それが
お互いの見上げる空に在り続ける
本当に綺麗な星
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