私の本物の表情/yamadahifumi
 
時が笑い

私も笑う

子供達が泣き

大人達も泣く

知らず知らず、私達は

「笑う」事を忘れている

お笑い芸人の一発ギャグで顔をほころばせ

会社と家族では怖い顔

泣けるメロドラマにほろりと泣いても

市街を行けば無表情

私達の感情はどこにあるのか

どこに私達は感情を置き忘れてきたというのか

そこで「時」を遡れば

生まれた時に大泣きした自らの姿が見える

逆に時の流れを早めれば

死に際して笑っているもみくちゃの自分の顔がある

そこでこの二つの感情が

私達の発する、多分、真実(ほんと)の表情だという事に気づく

私達はこの日常で、どれほどこせこせと

自分達の感情を押し殺している事か

逆に、愚かなバカ笑いや悲しんだフリが

いかに氾濫している事か

私は今、ここで世界に背を向けて泣く

そして、同時に世界の方を向いて笑う

それが私のたった一つの本物の感情

残念ながら、その表情はこの「世界」によって

誰にも見えないように仕組まれているのだが
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