寂滅光/
のら
月の昇らぬ砂浜に
唐紅の空眺め
忘れた歌を想い出す
衣を染めた白鳥は
空ろな波に身をまかせ
還る棲家を識らぬよう
解れた髪は風に散り
軋む素足は地に呑まれ
潮にこうべを晒しゆく
もがりの笛は漂々と
沖ゆく小舟独り待ち
寄せ来る波に魂洗う
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