挽歌/イナエ
 
夏の庭には自然が蔓延る
カマキリが三角頭をかしげ
雑草が繁茂して人間の通り道をふさぐ
その葉裏からわき出る蚊 這い出すヤスデ
ときには蜂が茂みに浮かぶ花を尋ねて
低く飛行する

手入れした庭の美観を損ね
人間を襲うものたちを育てる蔓草に腹を立て
鷲づかみして引きちぎった 
葉裏には
小さな蜂の住処が在ることも
内蔵の透ける薄い皮膚の幼虫が育っていることも
気付かずに.
 数匹の小蜂が哨戒していたけれど
 虻ほどの羽音も立てず
 牛を殺すスズメバチほどの武器も持たず
 異臭ガスを噴出する装備もない小型機など
 目にも止めなかった視界の狭さ

手袋さえはめていな
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