天使は川辺にて/あ。
 
それから、ぼくたちは
かくれんぼをした
十数えて目を開けて
探したけれどきみはいなくて


それなのに、例えば
ぼくの腰近くまで伸びた草だとか
時折何かがはねているせせらぎとか
どれもこれもがきみに見えて


幻だったのかもしれない
風を含んだ長い髪も
夕焼けを飲み込む深い流れも
夏、さえも


きれいだ、とても


戻る   Point(8)