叫ぶ子供たち/灰泥軽茶
 
幼稚園のそばを通ると
叫ぶような声で子供たちが歌っている

歌っているというよりは
ぼくのわたしの声が一番大きいんだぞと
叫んでいるようで
うるさくてしょうがないんだけれど
楽しくなってくる

わたしは最近叫んでいないし
大きな声も出していない
そんな必要にかられる場面もないし
街中でばったり
少し遠くを知人が歩いていても
人目はばからず
おぅいおぅいと手を振り
なんて久しぶりなんだなんて言わずに
ぷいぃとやり過ごしてしまうかんじだ

しかしよく考えたら私は笛を吹く
下手くそな笛を大きな音を鳴らして吹く
願わばうるさくてしょうがないなと
笑いながら見物してくれればいいのだが
無関心を装い通り過ぎる人ばかりだ

あの子たちのように
全身をふりしぼって何かを表現するようになりたいなと
小さな発見をし少し嬉しくもなり
園児たちの声を聴いていると
恥ずかしくもなるそんな気持ちである

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