パスティーユ/
 

花屋に並んだ血と肉
ブッチャーの笑いとテレビの泣き声
牛脂の付いた薔薇

わたしたちは自動ドアを開かせる
横長の切符を使い横長の階段を下り横長の駅舎へ着き
横長の電車に乗り横長の書物を読み横長の駅舎へ着く

死んだ電車はユニットバスをこじあける十円玉を
握り続ける指のひとつ

そのうちに山手線は渦を巻いていった
煮え立つ湯と日輪
わたしたちは太陽の切れ端をなめた
しょっぱい味がしてあとは
溶けたチーズのような封蝋が死んだ
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