ノリについて。/凍湖(とおこ)
道を歩いていて
右隣のひとも
左隣のひとも
前も後ろも
みんながいっせいに駆け出したら
わたしもまた、わけもわからず、走り出すのだろうか
行き先もしらず、目的もしらず
押し流され、ばたばたと派手な足音をさせて。
たとえ、わたし個人が
「ときどき足をとめて
道端のアリンコの行列を眺めていたい」
と、思うような、人間だとしても
いったん、ひとびとの洪水の一部になったら
もうアリンコは、踏んで行くしか、ないだろう。
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ノリとは、なんだろう。
ときどき、ひととひととの間(人間)にうまれて
わたしたちの四肢に、強力な粘性をもって、べったりと貼りつく、ノリ。
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