(5)アーヤと森とふしぎなひかり/吉岡ペペロ
ていってくれるから、
泣いてはいけないのにアーヤは泣いていました
まあるい芝生で、ヒョウスケくん、待つ、
アーヤにとってそれはヒョウスケくんを探す確かな方法でした
アーヤ、
うしろを振り返るとお母さんが森から現れたところでした
伝書鳩の手紙を見て、びっくりしたわ、ほんとに、なんてことに、
そう嘆きながら近づいてアーヤをはさんだままヤンおばさんを抱きしめました
ひとりになっちゃったよお、ヒョウスケが、ヒョウスケが、
ヤンおばさんが泣きじゃくるのをアーヤはたえていました
お母さんも泣いています
大人たちが諦めていることにアーヤは怒りが込み上げるのでした
なに言ってるの、そんなこと、ないからあっ、
アーヤは声をふりしぼりました
そしてふたりの間を抜けて走り出しました
うしろでお母さんの声が聞こえます
アーヤが森のなかに吸い込まれてゆきました
まあるい芝生に向かって吸い込まれてゆきました
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