(4)アーヤと森とふしぎなひかり/吉岡ペペロ
思いました
楽しかったね、ヒョウスケくん、のびのびしたね、
アーヤはまあるい芝生でヒョウスケくんと交わした言葉を思い出そうとしました
アーヤはまあるい芝生の薄まったひかりを思いました
あのとき感じた違和感を思い出していました
久しぶりだったからかな?あんなにのびのびして、楽しかったのに、
ヒョウスケくんと一緒にいて違和感を感じるようなことは初めてでした
アーヤはさきを急ごうとして足もとに目をやりました
あ、消えてる、
ひかりのリングが消えていました
迷いネズミのまあるい暗い影がなくなっていました
ひかりのリングの代わりに欠けた月のかたちのひかりがありました
それが行く道の土色をまばらに照らしていました
アーヤはなにかを振り払うようにそのひかりを踏んでゆきました
もうすぐ、ヒョウスケくんに会える、
ただそれだけの気持ちになって欠けた月のひかりを踏んでゆきました
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