紙魚/
たもつ
夜、本から紙魚が出てきて
僕を食べる
文字じゃない、と言うけれど
紙魚はお構いなしに
僕の身体を食べる
だから負けずに
僕も紙魚を食べる
本当は枝豆の方が好きなのに
食べ続ける
それから僕と紙魚は
水筒を回し飲みする
中身が美味しい麦茶なので
がぶがぶと飲む
そして嬉しい
夜が明け始める頃
僕は台所に行く
途中、ずっと行方不明だった
君を見つける
会いたかったよ
お互いに年を取ったね
と言って
二人で笑う
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