群青「緑」の詞  感傷/木原東子
 
か日没だった
子どもの日といい立夏という
どこかにある早緑、柿若葉、青もみぢ

霧の降る夜がきた
苧環の葉の水玉よ
香り始めた白いすみれよ
喜びも心配もある
理不尽よ、顔をだすな、通り過ぎてよ

きのうは楽しかった
今日は絶望に醒める
明日は皆目不明
すべて無駄な努力
君たちへの愛だけが残るのだろう

マッチ箱のような
ガラスの家が好きだ
でも心はしだいに
しおれてくる 君がもう
希望を見ないようになったのに似て

南房総の岬のあたり
菜の花がおいしかったと
北国出身の漁師が住みついて
小さな鰯を獲る
いかにも量子の海という水面

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