群青「緑」の詞 感傷/木原東子
夕茜の
明るい目裏をみながら
ヘッドフォンの中にたてこもり
やがてしっかり目を瞑って
頭の中の音だけに浸った
天才たちが残してくれたメロディと
テキストの感傷を
ああ、天才でもないのに
何か残せるかなんて
もうやめよう
花の写真一枚もないけれど
庭には名もなき微小の花
風のよく吹くこの半島に
散骨する場所があるという
知ってから
安心と淋しさの風が吹く
薄い下弦の一切れが
どこかに何とかかかっているのだろう
月の動きを思い描くのは難しい
網を投げても投げても
魚は釣れない、手ぶらなままだ
目を開けると
真っ暗な部屋だった
いつの間にか日
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