ペーパーハウス/村正
 
紙の世界でコーヒーを淹れたい

記憶の断片がいまさら燃え上がる

繊維質の砂漠の中

雨で崩れる家

家具はライターで焼けてしまう

崩れても逃げ遅れない

折り紙ですべては元通り

心配しないで

バースデイケーキだってきっと

紙の家に住みたい

すべてが薄っぺらい

厚いものは見えないだけ

服もおもちゃもテレビもいらない

偽物じゃない望み

紙の毛を切りに出かけたら

紙の車にひかれかけて

体に折り目が付く

心配は要らなかった

あの家がまぶしくて

紙をつぎ足してはいけないと思った

だから紙飛行機を体
[次のページ]
戻る   Point(2)