月が追いかけてくる/
佐倉 潮
世界にたったひとり
取り残された気分で
自転車を走らせる
コンビニを通り過ぎ
高架下をくぐり
収穫を終えた田んぼの
あぜ道をカタカタ走る
目の前の景色は
時と同じスピードで
流れるけれど、仰げば
走り出す前と同じ空に
三日月が笑っている
胸のざわめきを
静かに照らす位置に
− The moon chases me.
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