樹木の奏で/灰泥軽茶
 
とても古くて大きな樹木
人がすっぽり入れるほどの
祠があり神様を祀っている

樹木に近づくと
その清らかさに心を打たれ
身体を樹木の中へと入れると
ひんやりと冷たいけれど
太陽の光が染み出るように
鳥の声や虫の声
いきものの声が重なり重なり聴こえてくる
それはだんだん

にゅううううっと

みゅううううっと

ぴゅううううっと

その声は音の風となっていき
遠い昔民の記憶を奏でているようで
感情を揺さぶられ風を掬う
繰り返す毎日
気が遠くなるような日々を纏い
樹木を軽く撫でる





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