「明日」ほか二篇/乱太郎
 
は叶わず
触れることもあり得ずに
ただ耳元でささやかれる憩いにまどろむ
僕は悲しくなって一気に飲み干した
そして喉仏から孤独の鐘が聞こえてくる






 「無洗米だからって」

いくら無洗米だからって
炊飯器の中まで水いらずって
笑ってからかって茶化してみようかな
僕たち水いらずの仲だしね
そういえばさ
いつの間に
そんな仲になったのだろうね
火星に降り立つ最初の人類になったら
もう一度炊飯器取り出して
ここは赤い星だし赤飯炊いて
水はもともと無いのだから
水くさいこともなかろうにって
お祝いしようかね
悪ふざけで言ったけど
水無して炊いたご飯見たかったな
やっちまったねって笑う君が見たかったな



戻る   Point(19)