純粋言語/N.K.
 
バベルの塔の話ばかり考えていた
  
「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされないようにしよう」


いまでもバベルの塔の話を考える
  
こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱させ、主がそこから彼らを全地に散らされたからである



「語りえぬものについては人は沈黙しなければならない」




そしてペンテコステ
炎のような舌が分かれ分かれに現れ、
一人一人の上にとどまった日の事は
語りえぬことだとばかり思われた
異言を語るにはあまりに自己が
世俗化してしまったとでも
言えばい
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