MP3プレイヤー/yamadahifumi
青春や希望という美名は
僕のMP3プレイヤーの中にしかなかった
現実はみんな真っ暗で
みんなが楽しそうに話している間にも
僕の耳にはローリング・ストーンズや
忌野清志郎や坂本龍一なんかが歌っていた
僕達の未来はいつだって真っ暗で
過去もいつだって真っ暗だった
そんな時にも、メロディはまるで後光のように流れてきて
その中にはまだうら若い
ビートルズやレッド・ツェッペリンだっていたのだ
僕はそれを一人ぼっちで聴いていた
そして、今もそれらの曲を同じ気持で
ひとりぼっちで聴く
時は二十年近く経っているのに
まるで何も変っていないような気が僕はする
暗闇の中にあの時のメロディが
あのままに流れてきて
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