花の傘 雨道に/砂木
黄色の帽子をかぶった一年生が
朝の登校の集団に 交じっている
今時はピンクのランドセルもあり
小さな背中一杯に背負い込んでいて
初々しさに 車を運転しながら
自然と微笑み 見ようとしたが
ぎょっ とした
女の子が 口を一文字に歯をくいしばり
自分のつま先ほどの地面を
キッと 睨みつけ
ただならぬ気迫を漂わせて 歩いている
上級生の子が迎えにきてくれるけど
登校が始まる前に 歩く練習をさせようと思うの
道も覚えて貰いたいし
そう言って 入学前の仕事が休みの日に
登校の練習をする親子が いるのも知ってはいたが
親と離れて登校するのは 必死の気合がいるのだろう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)