最後のプレゼント/文字綴り屋 ひじり
 
今日はなんだかとても不思議な気分だ
昨日まであんなに寂しくて悲しかったのに
僕のとなりにぽっかりと空いたスペース
それが妙に微笑ましいんだ
くっきりと君の面影が浮かぶ
いつも君が使っていたシャンプーの匂いがする
僕の右手には君の小さな左手が
ねぇ可笑しいだろう
君はここにはいないのに
君がいるはずもないのに
はっきりと君の存在を感じるんだ

これが君が僕へくれる最後のプレゼントなのかい?
穏やかで温かくてすごく気持ちがいい
心が張り裂けそうだったあの夜からは
こんな日を迎えられるとは思わなかった

だからかな
ゆっくりと深呼吸をしたい気分だ
深く深く息を吸い込んで
静かに息を吐き出す
段々と遅くなっていく鼓動が
僕の心地良さを物語っているようだ
そう段々と徐々に
呼吸と共に僕は解放されていく



戻る   Point(1)