博愛テニスラケット主義/カンチェルスキス
 
ちょっと言って、つまんで引き伸ばした先端を急に離したりする。おれは呆然とする。あいつらの無軌道な暴力に戦慄する。あいつらが冷蔵庫に貼りついてるマグネットのホワイトボードだったら、私は好き勝手落書きしてやるのに。なすび、とか書いてやるよ。長靴がわたしの愛用だ。黄色だ。先っちょが赤だ。そんなデザインがこの世にはあるものだ。わたしの長靴には羽がついてる。だが、飛ぶことはできない。卵を産むことならできる。ゴム製のちょっとえぐれたところのある卵だ。真昼に、二個産み落とした。ちょびひげの先生が持っていった。おれはわかってる。わかってんだ。何もわからない。歯を磨いたとしても、歯を磨いたことにはならない。天狗の鼻は赤い。当初は青だったという説を私は信じる。








戻る   Point(2)