ムシャベル/三田九郎
なんだ
なんだ
なんなんだ
なんかしゃべってる
僕にむかって
懸命にしゃべる しゃべる
こんな形相
見たことないです
無限にしゃべる
そう
君はムシャベル
しゃべる しゃべる
しゃべるほどに
わからなくなる
リン、リン、リン
なんだ
なんだ
なんなんだ
口数に比例して
意味がすりへる
空疎になる
僕らのあいだに
上空に壁が伸び
届いてない
届かないんだよ
リン、リン、ルン
しゃべる
しゃべる
しゃべるほど
遠ざかる
思いは悲しく
離れていく
ルン、リン、ラン
空回りしてます
カン
カン
カン
乾いた音が空しく響く
おい
なあ
違う
違うって
言葉より
もっと時間が必要なんだ
しゃべらなくても通じる日
無言でいられるその日まで
さよならムシャベル
まだ早い
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