すれちがう足/朧月
みんな迷っているとおもうけど
私はほんとうにいつも迷っている
次にだすのが
右か 左か
それすらもうろ覚えな気がしてしまう
確かめるすべはいつもない
後姿は遠すぎる
同じむきに歩く方が楽だけれど
私はどうも対向車線を選んでしまう
顔がみえたほうがいい
それもきっといいわけ
制服が鎧だったころをすぎると
人は多弁になったり寡黙になったりするようだ
そんな観察は役にたたないことを
教室で学んだはずなのに
迷いの足は
私を連れてゆく
それに従うことで
私は明日を目指している
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