バビロン街の夜明け/
服部 剛
を打ち鳴らし
目をあわせてから背を向ける
一人になった男に
甘い声をかけてくる異国の娼婦達
路上に古びとけゆくホームレス達
別れた仲間達
通り過ぎるあご髭(ひげ)にベレー帽の老人
この街に息ずく
密(ひそ)かな声の全てがいとしく思え
エメラルド色のさわれない宝石を
手のひらにつつみ 胸の奥にしまう
男は一人ぬくもりを携(たずさ)え
夜明けの街を放浪してゆく
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