満ち欠け/
三田九郎
世界の
まんなかにいたのに
すみっこにいた
すみっこにいたのに
まんなかにいた
風向きひとつ
陽射しの強弱
空腹感
あいまいで ただ
わたしにすっと落ちてくるもの
巣のない小鳥の寂寥を
野良の子猫の感傷を
帰路の男の後姿を
夜はいったい何度抱き
朝はいったい何度照らし
まんなかだったり
すみっこだったり
私はいまも
揺れている
満ち欠けしている
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