バスに揺られて/灰泥軽茶
バスの中はおばあさんだらけだ
おじいさんは何処に行ったのだろうか
小さな小さなおばあさんは飴玉みたいな瞳で
少し高い場所から外を眺めている
歩く人を通り過ごし
自転車の人は追い抜いたり追い越したりしてるから
ちょっと可笑しい
太っちょのおばあさん同士はよくしゃべる
くっついてひっついて離れやしないリピートアフタミーンな会話
停留所でおばあさんが降りれば新しいおばあさんが乗ってくる
似ているような似てないようなみんなおんなじに見える
そんな私もおじさんという何の変哲もない石ころだよと
ブザーを押すとやけに色っぽい女の人の声で
次止まりますの声がする
戻る 編 削 Point(9)