浴望/村正
不安げに明るい道を歩いて
渦の中の待合室
そして本当は夜だった
六十分で世界が変わると信じたんだよ
行為に名前をつけなかった
大人は不都合から目をそらすから
美化される予備軍たちの話だ
続けば或いは澄んでいく
なかったことにして
国境をまたごう
与えられる安心だった
ただの嘘
汚し合いをしていた
そんなような話を思い出す
たのしいよるだから
忘れていた
君は共有されているし
本当は君の値段を知っている
汚れてこどもになって
洗っておとなになる
かさぶたをはがして
滲んだまま服を着る
手垢がついた言葉を飲み込んだ
罵倒が欲しかった
優しい人だという
夜が閉じるような
君の声
誰が誰を責められるのか
朝が来ても
君の価値を知っている
忘れずにいる
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