渋谷。リップスティック。14歳。/いとう
 
ゆるやかに
君は沈んだまま遊んでいる
沈んだまま流されていく

澱んだ水の中に眠る宝石
そんな幻想を
リップスティック
ねぇ
どこで覚えたの?

JRは優しい周遊船
最後に見たのは午前5時
コインロッカーの中の彼女の秘密
帰る場所はどこにもなくて
水の底で拾ったガラス玉を
大事そうに
撫でている

リップスティック
慰めすら聞こえない
悲しみさえとどかない
そんな惨めな
水の底で







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