【さくらの ゆくえ その二 桜陰編】 三篇/るるりら
もうすぐ きみは 旅立ちの時
婆さまは 桜の歌を きみに うたっている
母さんは チューリップの歌を うたっている
元気でとか 風邪ひくなよとか 歯みがけよとか
ドリフターズのようなことしか こどもだったころのようにしか
あいらしいとしか いつくしむしか あのちいさかった娘がねぇとか
ありったけの この思いよ
繊毛になれ
さりげなく うつくしい花が かならず もっているもの
さりげなく 咲く花の根のように すがしく白く透明な
繊毛になれ
たなびく歌よ
サイタ サイタの リフレインよ きみの背中を追え
春の風を切る きみ
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