【さくらの ゆくえ  その二 桜陰編】 三篇/るるりら
 
【 桜の散った街を往く 】

立ち止まるしかない 踏切では
たちどころに 遮断機がおりて
多くの人の思いが 通り過ぎる

伝えようとした言葉が
伝えられないときは
立ち止まるしかない 遮断機が降りているのだ

ボケの花が一斉に ほざき
轟音が行く手を はばむ
天然だし と ちいさく つぶやいても 聞こえない

桜が舞い上がる こまおくりの車窓が走る
わたしの世界を
あなたの世界を
風が吹きぬけて
あなたとわたしの世界のすべてを 桜の花びらが舞う

遮断機がやさしく上がり
わたしは あなたに手をさしのべて
わたしたちの心の
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