林檎/蒼木りん
 
丸の林檎に歯をたてて
肉を剥がすように
それが快感なのだ

私は何に恨みがあったのだろう
それともこれは本能か
殺生は繰り返され
それが罪とも気づくはずもない頃

罪なんてものは
人が人に対しての害なのだ
林檎は林檎
果肉は迸(ほとばし)る蜜の香りに満ちて
私に刃をあてられ
本望なはずだ

腐るより
増しだろう




戻る   Point(0)