打電する/2012
打電
僕は打電する
手紙を書くのはめんどうだから
ごめんね 僕は打電する
未来の僕へ
君に手紙を書くのは結構めんどうくさいんだ
覚えているかい
木苺が茂っていたあの廃屋
面白半分で食いまくっていたら 年々木苺が少なくなっていったんだ
でも一面の畑はいつも良く耕されていた 覚えているかい あの
土の匂い
覚えているかい
空高く舞うあの白い煙
庭の木を切り倒しまくって 気の向くままに焼きまくった
冬の日も 夏の日も 煙の匂い半端ない
もうほとんど忘れただろう
こぢんまりした港のある町で
春先には子供にお菓子が振る舞われたことを
毎年わけも分からずお菓子を無心した
港の近くでは磯臭い網が山みたいに積み上げられていた
覚えている あの豊かな
海の匂い
打電する
僕は打電する
ただ文字を打つ
未来の僕からしたら 何の足しにもならないかもしれない
文字を打つ
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