籠/葉leaf
 

コーヒーカップを手に取ろうとして
指がないことに気付く
指の付け根には掌もなく
掌の元には腕もない
外では桜の花が咲いていた!
不穏な蜜で大気はべったりしていた!

ワープロを立ち上げてみたが
ディスプレイに何も見えない
ディスプレイの外側にも何も見えない
世界は完全に透明になって
遥かかなたに浮かぶちっぽけな僕の眼球
腹の奥で嘔吐が繰り返されていた!
血管の破れが永久に塞がらなかった!

気持ちを休めようとして
深呼吸する肺がないことに気付く
言葉を発するための論理はばらばらで
暴れるだけの本能も腐りきっていた
僕はどこまでも下っていく決して消えない炎だった!
乱れた水平線はいくら世界が切り替わっても美しいままだった!

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