あなたと違う季節/西天 龍
ハナミズキが咲いたよ
あなたが言う
サクラに遠慮していた花たちが
一斉に溢れ出す頃
ピンクと白の並木道、懐かしいね
あなたはまるで植物図鑑のよう
花の名前覚えると楽しいって教えたの
わたしなのに
わかってる
あなたはそこにいるのね
春から初夏に向かう散歩道
いろんな花に彩られたあなたとのシーン
すべて覚えてる
一人歩く道の脇にわだかまった雪
つぼみは固く咲く花さえない
あなたは
海峡を隔てまだその先遥か彼方
自分で決めたことだけど
あなたと違う季節を生きていること
いまはじめて気がついた
陽射しの匂いがするあなたの声
おりたたみながら
あなたと違う季節の風花にうずくまる
自分で決めたことだけど
あなたと違う季節
生きていけるのかな
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