異邦人日記から/動坂昇
 
 「喫煙は自由だろ」 彼はそう言った後に皮肉そうに眼を細めて冷笑しながらこう続けた。「ま、自由の概念が日本人に理解できるかどうかはわからないけれども」 ぼくは微笑みつつ答えた。「少なくともぼくはよく知っている。きみは自由だ、他人に迷惑をかけない限りは。そしてまたぼくは知っている。きみが決められた場所ではなく同僚のそばで喫煙したがるときには同僚に嫌悪感を与えている」 彼は悔しそうにぼくにはもう聴き取れない速度で強く反発しはじめた。ぼくはどうでもよくなってただ言った。「そうだな、きみは正しいよ、きみのなかでは。しかし同僚にとってきみは正しくない、問題はこれだろ?」 彼は黙った。潮時だと思ったので「それ
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