(夜の空気を攪拌していると)/kauzak
 
夜の空気を攪拌しているといつの間にか故郷
の畦道を歩いている。圧倒的な闇と降りしき
る星空が僕を包んでいる。この故郷は何処だ
。東京で生まれ埼玉で育ったけれどこんな闇
もこんな星空も知らない。のではなくて両親
の故郷の畦道だということは分かっている。
けれど僕の故郷ではない。どうして僕はここ
に居る。限りなく余所者に近いのに余所者に
は成りきれずに中途半端に繋ぎ止められる。
あるべきはずの場所へ帰りたいと思ってもそ
んな場所はないと直感的に思う。故郷の畦道
を歩きながら夜の空気を攪拌する。僕はいま
何処に居るのだろうか。闇が濃くなる/薄く
なる。めまいを起こしながら帰ろうとする。

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